BLEACH 神槍 模造刀改造版 拵え変更レポート

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 1.前置き 2012年6月1日
 
 
 北東北では ようやく遅い春が終わりに近づいたころ、サイトのメールフォームから問い合わせがありました。
   曰く「模造刀の持ち手の柄の色が気に入らないので、改造を引き受けてもらえませんか?」とのこと。
   肩鎖が終ったばかりで、蛇尾丸の図面を引き始めたばかりでしたが、蛇尾丸自体の正式発注は受けていませんでしたので
   受注しても問題ないかな? 程度の考えで記入されていたメールアドレスへ返答してみる。
 柄糸関係の改造は結構問い合わせもらってたよね?
 ん。 そのとーし。
   でも、柄糸の交換って結局 模造刀自体や柄のみとかの往復郵送がかかるし、柄糸は在庫があるわけじゃないんで
   好みの色がある場合は、柄糸要支給で送料は結構高いヨ? って返信するしかないわけだ。
   ほとんどの場合、そこでやり取りは停止してたんですよ。(天鎖斬月 模造刀改造版と同じく)
    今回も どうせそうなんだろうなー と高をくくっていたのは事実。
 今回は(今回も)そうでは無かったと。
 うむ。  ところが、届いた返信によると「コミック鍔」なるものが使えないでせうか? とのこと。
   正直聞いたことしかなかったので、早速調べてみる。
   すると、模造刀の刀身と同等レベルで亜鉛合金を使っている鍔の販売がある。
   鍔の形状をモニターで見る限り、量産模造刀の規格に合ってそうな気配。
 世の中 何が商品になるか判らないもんだねぃ。
 うむ。  んで、お話を進めるうちに
    ・模造刀は、まだ買ってないので それらも含めて私側で購入してもらえないか。
    ・柄糸は、正直用意できないので、白い平紐(在庫有りの分)で。
    ・目貫は無しで。 縁金、柄頭はアニメ基調で改造できますか?
    ・ざっくりとどれくらい予算を見れば良いか?
   など、大まかな方向性が対話で進んでいきます。
 珍しい・・と言うか、あまり見ないタイプだったねぃ。
   昨今は、3行で問い合わせてきて、条件合わないのか何なのか、急に音信不通になる人ばっかりだけど
   「こういう風な物が欲しい」っていう資料を作って送ってきた人は始めて。
 うむ。  おかげで、かなりはっきりした希望が、初期段階でわかったので
   それから 希望に近づけるために、こちらで出来ることを幾つか提案 → 選択して決定
   っていう一つの流れができて、比較的やりやすかった。
   変な「値切り」も無かったしね(笑)
 よくよく考えると、新規の開発事項も 特に無いしね。 あとは鈍った腕がどうなるか。
 ヴ・・ 。
   ま、とにかく久しぶりに柄周りもいじれるし、合金鍔がどんなもんだか興味もあったし、
   染色の条件設定も試せる感じだったんで 引き受けることにしたわけだ。
 
 
 
 
 2.染色実験と見積もり送付 2012年6月12日
 
ポリエステルカラー アクアマリン 染色実験  
 最初、柄糸の染色を染色剤正規の色より極力淡く
   ってことだったんで、「白でも良いです」って言ってくれたのを
   「実験させてください」って頼んでみるテイスト。
 アホ。 予算余計に負担させるようなことすんな。
 なるべく押さえる方向で調整したよぅ。
   しかし、ポリエステル染色剤は、大釜で煮る仕様なんで
   小鍋でやると染色成分が足りなくなる感じだね。
    淡くって希望だったんで、結局 正規の1/20濃度で
   処理しましたが、ギリギリの量でしたね。
 
パーツ揃い 模造刀 コミック鍔 しのびや  
 前倒しで染色実験進めて、具体的仕様が固まったので
   見積書発行しました。 OKもらったんで発注かけます。
   今回は「コミック鍔」を売ってる通販サイトで扱ってる
   模造刀などが一緒に購入できましたんで
   幾つか追加で購入して、送料の節約をしてみました。
 また余計な買い物してー。
 んー、前から試してみたかったことがちょっとね。
   前から単品で作る時に、もう一個 または複数同じものを。
   作ったら、売って遊んだりできないかな?
   とか考えてたんで
   今回 小刀を希望されましたが 大刀版も作ってみようか。
   と、考えたわけだ。
コミック鍔 合金鍔  コミック鍔なるものを、検品してみる。
   金属のむき出しにクリア塗装がしてある。
   鋳型から外すときの凸部分があるのが邪魔。
   総合的には値段の割には良い出来ではないだろうか。
 でも模造刀には合ってなかったんだよね?
 うむ。 茎に入らん。
   この辺は、茎共々「調整」する。
   ここで経験が必要なんで、加工費としてもらえるわけだ。
   
 
 
 
 3.縁金・柄頭・鍔 2012年6月15日
 
調整と仮組立て  
 まずは鍔が納まるように茎と鍔穴を研磨調整。
   ここで鍔が薄かったら切羽で調整するんだけど
   入荷品には1枚しか入ってなかったんで
   結構シビアに調整入れます。
 結局、鍔も削ったんで再塗装。
 ちと誤算でしたね。
   次は最初から研磨想定で行こうと思います。
 
龍のモールドは要らない 縁金・柄頭研磨  
 模造刀の縁金・柄頭は龍の意匠が
   施してあるんだけど
   模様無しで、縁金は薄くってのが希望だったんで
   研磨にて希望に形に近づけます。
 これ意外にも鋳物だったんだよね。
 うん。 しかも削ってみて鉄系じゃないことに
   初めて気がついたという。
 
仮組み立て 調整  
 削った縁金・柄頭・鍔を含めた仮組み立て。
   この段階での調整で、後は削るところは
   ほぼ無くなります。
 
 
 
 4.いよいよ柄巻き〜完成 2012年6月17日
 
柄糸ほどき  
 既存の柄糸を解いて、接着剤を取り除きます。
   目貫を外して、プラスチックの柄を
   むき出しの状態に。
 相変わらずの接着剤?
 うぃ。 ゴム系のねっぱるヤツ。
   ここまで竹箸一本で解きます。
 
金色で統一  
 柄下地も含めて、鍔・縁金・柄頭を
   メタリックの金色で塗装。
   柄下地だけ平滑度が無いんで、濃くみえますが
   致し方無し。
 
巻き巻き  
 巻くのも竹箸で。
   マニュアル見ながら確認しつつ巻いていきます。
   柄が短いんで柄頭の留め部分くらい手抜きしても良いけど
   ま、真面目に玉留め。
 
完成品 柄巻き  
 一旦、コレで完成。
   若干、巻きの甘い部分に修正を加えて
   全体をクリーニングします。
 
 
 
 5.発送と決算 2012年6月27日
 
完成アップ
鞘込みコミ  あんまり意味はありませんが恒例の重量測定。
   鞘込みで720gくらい。
   ま、小刀だし こんなもんでしょ。
 
鞘払い  鞘払いで570g。
   遊ぶには良い重さかもしれん。
 
 
 今回のの決算。
 
 いつも通り、左は原材料(原単価)。 右は今回使用分価格。 1円端数切り上げ。
 やりなおし分は含めず、最終的にかかった分だけ計上。
 
 
 原材料原単価 分割分単価分割量   使用箇所
 模造刀(小刀・送料込み)5000円 5000円1本 本体
 コミック鍔 type神槍1100円 1100円1枚 鍔
 柄糸 ポリエステル10mm幅350円 1400円4m 柄糸
 ポリエステルカラー染色剤720円 150円1/5本 柄糸
 塗料 プライマースプレー 300mL1200円 240円1/5本 柄下地、縁金、柄頭
 塗料 メッキ調金スプレー 300mL1800円 600円1/3本 柄下地、縁金、柄頭
 塗料 クリアスプレー 300mL700円 140円1/5本 柄下地、縁金、柄頭
 ダンボール箱(特殊形状改造)250円 250円1枚 梱包/移動用
  
 合計11120円 8880円  
 
 
  上記計算は、単品作業だった場合で 実際には色々オプションつけたりして安くなったり、実験して高くついたり
 工賃は含めてなかったり。 
 
  作業の中を見てみると、縁金を削って平らにするという発想は無かったので、良いアイデアをもらった気がしますね。
 ポリエステルの平紐は、柔らかく弾力があるので 装飾の柄糸以外には向かないとおもふ。抜刀するには ちと危ない。
 色を基準に考えると、あんまり選択肢がないので致し方無いが。
 染色剤の特性は色々わかったので、実験した甲斐はあったかな。
 
  暇を見つけて大刀仕様も作ると思うので、どっかで所有者を募集したいところだ。
 
 
 
 
 
 10.到着 2012年6月29日
 
  到着の連絡いただきました。
 実際の色調は、事前には画像のみで確認だったんで一抹の不安はありましたが、OKもらえました。
 ついでに購入した刀袋にも ちゃんと納まりましたので、仕舞うにも移動にも一定の需要があるかな?
 
  相変わらず塗装は課題事項で、レポには書いてないですが
 鍔まわりの塗装には2回失敗しました。(2回剥がしてる) ラッカー系を使うときは、下地に注意ですな。
 今回も良い経験ができました。 依頼者に感謝。
 
 
 




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