コスプレ用 試製小太刀 作成レポート
刀身編


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 1.考えるところ (2006年10月7日)
 
  この日、大型の低気圧のせいで東北地方は大荒れの天気。 そのせいでモンコレの大会も参加できないときた。
 (電車止まりやがんの) しかたがないので、以前からやってみようと考えていたものをひとつ 試してみることに。
 
  事の思いつきは、狛村隊長のコスプレ。
 このとき模造刀を入手したのはレポートでも書いたが、流水っちの言うことにゃ 軽めと言っても金属製の刀身を持つ模造刀。
 鞘込みで重量約1.2kgは、長時間持ち歩くには負担が大きい とのこと。
  確かに模造刀としてはこの重量感が良いのだろうが、抜き身で扱うことがない限りコスプレという特殊環境下では
 この重量が邪魔になる。
 正直なところ、刀身を抜いて鞘と柄だけにしてしまえば500g程度しかないので、負担は激減・・・というより問題無くなるのだろうが、
 撮影環境下ではなかなかそうもいかない。
 狛村隊長のときはよかったんだが、多くの場合 特に撮影時には やはり刀身は欲しいのだ。
 
  他の事例を見てみると、みんなうまく作っているもので、最近の風潮としては
 1に安全性(形状・材料) 2に強度(複数回使える) 3に見栄え(造詣) 4に機能(持ち運び性など) といった感じに思えたので
 ここはひとつ目先を変えて、機能としての軽量性を第1にして、第2に見栄えを優先してみようかと。
 
 とりあえず作成依頼されたわけでも、作り方が確定しているわけでもないので、どっかのお店のごとく
  会場の材質規制を守りつつ、重量感と強度を犠牲にしてどんなものに仕上がるのか・・・
 
 
 
 
 2.下書き〜そにょ1 2006年10月8日
 
参考文献1  
  歴史の群像シリーズなんかでもおなじみの
 (おなじみじゃねーって)学研発行 「図説 日本刀大全」。
 ほぼフルカラーで日本刀の構造・作り方・歴史・分類など
 難しい単語には読み仮名までついて解説してま。
 
参考文献2  
  今回は冒頭の折込部分にある日本刀の構造名称の
 図解部分を参照。
 さすがに実物大でもないので
 (スキャナー取り込みしても良かったけど)
 見ながら下書きしてみようと。
 
下書き えいやっ!  
  材料として今回使ってみるのは、
 鍔にも使ってみたフォーレックス(低発泡塩ビ板)。
 図を見ながらいきなり鉛筆で下描き!
  依頼品でもないし、大きさも決まってないから別に良いのだ。
 
 でも原材料の大きさの都合(600mm×450mm)で
 全長500mm程度になっちまった。
 
 っつーわけで、某武器屋よろしく
 「試製 小太刀」と命名。
 
切り抜き1  
  手描きはさすがに線にヨタつきがあるので
 周りに余白を残して切り抜く。
 最終的にはヤスリで修正するんだけどね。
 
切り抜き2  
  余白を切り取ってまずは原型1枚。
 こいつを基本形状にして展開していく。
 
 
 
 
 3.作成〜そにょ1 2006年10月15日
 
切り抜き3  
  ちと間が開きましたが。
 
  先日の原型を基に他のパーツを切り出す。
 画像上から板厚1mm・2mm・2mm・1mm
 合計6mmの刀身を目論んでみる。
 
確認1  
  重ねるとこんな感じ。
 少々薄めになりそうで強度が不安だが、
 まずはその辺も確かめるために続けてみる。
 
中抜き1  
  次に最初の外観を見ながら
 内側にくる2mmもの2枚に中抜き部分を下書きしていく。
 
中抜き2  
  最終的にはこんな感じの4枚に。
 内2枚が今回の試金石。
 便宜上
  内板(ウチイタ)・2mm・2枚
  外板(ソトイタ)・1mm・2枚
 とでも呼びましょうか。
 
 
 
 
 4.作成〜そにょ2 2006年10月28日
 
接着剤2種  
  出張が続くと、この手のことが手につかなくなる。
 んー 良い傾向では無いね。
 
  先日のパーツの内、2mmもの2枚を貼り合せる。
 ここで使う接着剤なんだが、通常の"接着"剤とは
 違うものを使用してみる。 それがこちら。
 "アクリルサンデー 接着剤" と
 "サンデーシート (硬質塩ビ専用)"

 
  要するに溶剤接着剤と言うヤツで、物同士を溶かして
 接着するもの。 木材や金属なんかは全く着かない。
  でも、接着すると接着剤そのものの体積は無くなるので
 体積の増加や異材質の混入を考えなくても良いのがメリット。
  主成分の塩ビ板に対する溶解力は
 「二塩化メチレン」<「テトラヒドロフラン」なので
 今回は強い方の"サンデーシート"の方を使ってみる。
 
隙間に流し込み  
  まずは内板2枚から。
  プラモデルなんかのABS樹脂接着剤なんかと一緒で
 くっつけて固定してから隙間に流し込み、
 固定を続けて蒸発を待つ。
 
ざりざり  
  くっついたのを確認したら、
 おもむろに切っ先の部分と鍔元の部分を削っていく。
 
合わせ  
  外板の方を合わせて確認。
 この時、後の加工のために
 外板の刃側の内側になる部分も斜めに削ってある。
  ここまで来ると、何を意図しての2mmパーツの形状だか
 見えてくるかな?
 
 
 
 
 5.作成〜そにょ3 2006年11月3日
 
折り折り  
  接着面積もでかかったこともあってしばらく放置後。
 
 内板をガイドにして
 外板の内側の空間部分に向けて
 外板を折り曲げていく。
 
 フォーレックスは1mm厚なら簡単に折り目がつく。
 
最外接着  
  一通り折り曲げ終わったら、外板同士が接触する部分
 つまり「刃」になる部分を接着していく。
  この時、事前に接着部分を斜めに削りこんでおいたので
 接着面積が確保できているため、結構強度が得られる。
 
ざりざり その2  
  最後に外周と刃の部分にヤスリがけして形を整える。
 一旦加工はこれで終了。
 
 塗装はどうするか別検討として
 次は拵え(こしらえ)だね。
 
重さ  
  未塗装のこの段階で、重さほぼ30gという軽量具合。
 柄に納まる部分を持って風切り音が出るくらい振ってみても
 破損は起こらないもよう。
  中抜き構造にしたのは、
 軽量化狙いとこの強度を狙ってのもの。
 ただの重ね板構造より三角(部分)パイプ構造の方が
 強度としなりが出るもんね。
  後日製造予定の刃渡り70〜80cmものでも
 この強度が得られるとうれしいんだが。
 
  切先の気になる痕はクリップで固定したときの痕跡。
 斜めの物体を抑えるのにやりすぎた。
 
 
 





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