狛村隊長 鉄笠 作成レポート

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 1.まずは発端 (2006年4月4日)
 
  一ノ関モンコレ仲魔の流水さんとのメールのやり取り中、「犬のマスク作れない?」との一文が発生。
 どうも、仙台コミケにブリーチでコスプレ参加したいが、体型を考慮するに七番隊隊長か二番隊副隊長かなぁと検討し、
 七番隊狛村隊長やるにはマスクか鉄笠作んなきゃ。とのことらしい。
  普段、衣装の作成依頼をしているところは作ってくれないらしいので、こちらに話題を振ってみた感じ。
 まぁ、あっしのツテで模造刀を購入するついでも有ったみたいだけど。
 
  昔取った杵柄ってこともあるので、本気で作成検討して、マスクだと10000前後、鉄笠だと材料別に3600〜として
 見積もりを出して見るが、なかなか合わない。 どうも高いと言うことだ。
 
  マスクは更にリスクが大きそうだということで、鉄笠を作ることで検討にはいる。 希望はコミック版。
狛村1  
  んでもって参考画像。
 よくよく見ると、他のページなんかも含めて、
 デザインが一定でないことに気がつく。
 形状違いならまだ許せるが、「デザイン」が根本的に違うのは、
 非常に困る。
 
  なので、←真ん中左側の形状を基本に、
 細部は作りやすいようアレンジを入れることにする。
 
 
  流水さんの希望も有り、まずは型紙を作ってみて、大まかな形状を見てから最終判断をしたい。 ということに。
 
 
 
 
 2.型紙を作ってみよう〜そにょ1 2006年4月8日
 
  一ノ関のモンコレ大会当日。 本人が「利用」できるので(笑)、その場でボール紙を裁断して大枠の形状を出してみる。
 切り出してみてはじめてわかる、色んな不都合。
ボール紙の切り出し型   まずは、流水さんの頭部。
 
 頭が入るサイズを目分量で測り取って
 大まかな形を切り出してみる。
 
  狛村隊長の体躯では肩幅があるから、
 鉄笠かぶってもあのバランスで収まるのであって、
 頭が入る程度の大きさを維持しながら
 形状を作ると ← こうなる。
 
 正面画像から、普通に人間がかぶると
 頭部に対して肩幅が狭いのがわかる。
 
  体幅の8割を使ってしまうので、正直なところ肩当てを設けるスペースなどは無い。
 もし自分が"やる"なら肩パットと腕周りの補正具を追加作成して頭部とのバランスを求めるところだが、とりあえずは考えないことに。
  画像を見せて客観的な位置からの判断を任せてみる(この段階で正式な作成依頼は、まだ出てない)。
 
 ・・・・・衣装の都合が確定してないので、保留だって〜。
 
 
 
 
 3.そして再見積もり 2006年4月21日
 
  2週間近く経ってやっと正式発注依頼のツメに入る。
 今回は、母材の色ではなく塗装で攻めようかと考えていたので、色指定をもらおうとしたら ここまで引っ張られた。
 しかーも追加仕様の無茶付き。 「持ち運びに不便なんで、折りたためない?」と、きたもんだ。
 しょーが無いので、マジックテープでの組み立てを想定して再見積もり。
  想定仕様としては、
  ・本体は発泡スチレンボード、厚さ5mm
  ・首周りのヒダは発泡 軟質
  ・頭頂部、側面部、高等部、ヒダ×3の6分割
  ・色は塗装基本で2色
  
  盛岡はこの手合いの素材を扱う店が少ないので、今回は「ホーマック」をメイン利用。 そこで扱っている素材の組み合わせとなる。
 東急ハンズがうらやましいのぅ。
 
 
 
 
 4.型紙を作ってみよう〜そにょ2 2006年5月29日
 
  ナポリ式は仮縫いが命〜(笑)
 ってなわけで、前回作った型紙を元に、材料切り出し用のもちっと精密な型紙を作ってみる。
 今回は硬いボール紙ではなく軟らかい画用紙使用。
 
  ・・・・作ってて肩周りで製作がとまる・・・ なんかマネキンの肩からでは形状出しができん。
 家の「頭突き君2号(頭部マネキン)」が役にたたないとは。
 なんちゅー特殊形状な体型しとるんだ流水さん。 (・_・;) 本人の型をもう一度取らせてもらわんと。
 それまでは本体の概形を進めておく。
精密?型紙  
  んでもって本人で型取り。
 ヒダ部分をフレキシブルに分割しておいて、
 本人に合わせてからガムテープで固定し
 後で切り開いて使用する方法をとる。
  本体は少々大きめに見えるが、
 これでも頭頂部は接触してるし
 内側の幅も結構ギリギリ。
 でももうちょっと詰めてみたいか・・・
 
  すでに分解用の分割線は入れて切り開いてあるので
 ちょっとパーツは跳ねているけど概形はできたとする。
 
 さらに精緻なものを作って型紙の最終稿としよう。
 
  問題は締め切りだ・・・6月10日引き渡しを目指さなければならん。 さて間に合うか・・・。
 
 
 
 
 5.型紙を作ってみよう〜そにょ3 2006年6月3日
 
  どうにかこうにか。
 
精密?型紙  
  正面形状は、ボール紙の復元性のため
 細身になってるけど、
 実際に成形するときには幅は固定できるので
 問題無しとする。

  下敷きの新聞とくらべると結構でかいっすね・・・
 そういうこともあるので周りのヒダは短めに。
 肩の局面出しはやっぱり苦労しそうですな。
 
 さて、いよいよ材料の切り出し。
 このままのスケジュールで行くと・・・
 
 間に合わない?
 (組合活動の一時金交渉期中にこんなことすんな〜)
 
 
 
 
 6.成形〜そにょ1 2006年6月6日
 
  基材は発泡ポリオレフィンボード。 商品名"デコソフト"。ライオンボードと呼んだほうが有名か?
 見積もり段階で考えていた発泡スチレンボード商品名"デコパネ"は曲げ加工が難しすぎ。
 最初は良いと思ったんだけどなぁ・・ ってなわけで急遽買出し内容変更。
 塗装をするので、発色を考えると白で作ることになるか。
 
アイロンでキシキシ  
  「カビくさい技を見せてやるぜっ」 って感じで。
  手に入るのは5mm厚だけなので
 アイロンで温めながら手曲げ成形していく。
 少々熱いがアイロンに触らなければ
 火傷するほどではない。
  下に敷いてるのはアイロン台ではなく
 実はまな板。硬さが無いと形状出しにくいし。
 
  合わせ目を調整しながら各パーツを成形していく。
 
一旦仮組み  
  一通り成形し終わったところでテープで仮止め。
 全体の形状を見ながら再度成形調整。
 
  この時点で頭頂部パーツの強度に不安がでる。
 こんまま組んでも全体を支えきれないような気が・・・
 ちなみに塗装は一番最後、マジックテープを仕込んでから。
 先に本体にモールドを入れとこうか。
 
 
 
 
 7.成形〜そにょ2 2006年6月8日
 
  天候が悪い日が続き、外での塗装が(これだけの大きさだと筆塗り以外部屋ではできない)できないため、
 納期に間に合わないことが確定。 しかたないので天候の回復を待って塗装が終わり次第郵送ということに。
  頭頂部周辺、本体前面部、後頭部接合部にマジックテープなどで分解ギミックを仕込んでいく。
 
プラ蝶番折り畳み  
  本体前面部は、形状維持のためフレーム補強をいれて
 プラ蝶番を仕込んで畳めるように。
 
後頭部ははめ込んでから  
 本体と後頭部の接合部分は、カセットはめ込みで
 2箇所マジックテープで固定するように。
 
モールド成形  
 目の開口部を切り出してから
 本体、後頭部、ヒダにモールドを貼り付けていく。
 
 
 
 
 8.理解分解再構築 2006年6月10日
 
  (不本意ながら)郵送が決まったので、ちょっとスケジュールをゆっくり目に修正。
 全体を組み立ててマジックテープを組み込み。
 ヒダのモールドがまだだけど、ついでも有るので一ノ関大会に持っていって本人に組み立て方のレクチャーを行うことにする。
 
塗装前完成見込み1  
  まだ見ぬ持ち主を想い 黄昏る鉄笠(笑)
 
前面装甲  
 組み立てると結構サマになっている。
 
癒着!(嘘)  
  えー、正面からだとそこそこ良いバランスになってる。
 けども、横や斜めから見ると やはりオーバーサイズ。
 でもこんなもんで。
  肩まわりの曲面はなんとかぴったり合ってくれた。
 
 
 
 
 9.塗装をしよう 2006年6月11日
 
  今回は既存の塗料の中から色指定をもらっているので、全体はライトアンバーに黒枠で。
 なんとか雨は降らなかったので、ヒダのモールドを入れたら一気に全パーツ塗装しちまう。
 
塗装乾燥中  
  基本的にスプレー塗装&細部筆修正で対応。
 前もって接着してあったマジックテープは
 粘着テープでマスキングして、
 塗装がなるべく着かないようにする。
 
  やっぱり無理があるのは下地塗装無しでいったため
 若干「くいつき」が悪い。
  マジックテープの追加を施すつもりだったが、少−し不安。
 
 しかもこの湿度・・・ちゃんと乾くのかしら・・・
 
 
 
 
 10.最終調整 2006年6月12日
 
  黒枠とヒダの接着→マジックテープの増設→過不足調整。
 
マジックテープ追加  
  黒枠は場所によってヒダとの接着角度が異なるので、
 あわせて切り込みを入れている。
  マジックテープは当初5mm幅ほどの1本で
 支えれるかと思ったが、
 重さに耐えられないかもしれないようなので、2本に増設。
 
組立・調整  
  ・・・・・・・・・・・
 
  あっ! 鋲忘れた・・・
 
  塗装前に付けるはずだったのに、すっかり失念。
 違和感無いから今回だけは放置(笑)
 
忘れた・・・  
  接着剤が乾いた時点で組み立ててみる。
 
  マジックテープを増設した分だけ黒枠パーツサイズに
 誤差が出てしまっている。
  ま、材質のやわらかさでなんとか吸収できる範囲だが、
 素組みするとズレがでる。 要反省(今回は修正しない)。
 
 
  というわけで、今回はこれで完成とする。
 今回は精密組立できるほどのを作る予算もらってないしー。
 
 
 
 
 11.完成考察 2006年6月15日
 
  まずは完成品。
 
外観図
解体線  
  黄色の線が解体するときのキャストオフライン。
 後頭部パーツがモールドを優先すると分割できなくなる。
 もうちっとなんとかしたいところ。
 
  最終的にはヒダのマジックテープを
 他の部分同様埋め込みにしてしまえば、
 サイズのずれを引き起こさなくてもすんだはず。
 今後の反省点であろう。
 
内側ハリボテ(笑)  
  んで、舞台裏。
 
  パーツ一つごとに完全塗装してしまえば
 もっと見栄えの良いものができるのだが、
 塗装代は2.5倍に膨れ上がる。当然工数も。
 あまり良い選択とは言い難いが、時と場合によりけりか。
 
  本体と後頭部との接合部分は、
 モールドでちょうど隠れるように仕込んである。
  本体とヒダの接合に使用するマジックテープは
 違和感が出ないように黒色のものを使用。
 
 
 今回の会計
 ・初期見積もり状態
   デコパネ白900×600×5mm   1100円×2枚
   デコソフト白900×600×5mm   1400円×1枚
   接着剤等消耗品           1000円
   塗装スプレー ライトアンバー2本  800円
   塗装スプレー 黒マット1本     400円
   マジックテープ             600円
 
   合計                  6400円
 
 これに対してかかった費用と内訳は
   デコソフト白900×600×5mm   1400円×2枚
   デコソフト黒450×600×5mm    700円×1枚
   接着剤等消耗品           1000円
   塗装スプレー ライトアンバー3本 1200円
   塗装スプレー 黒マット1本     400円
   マジックテープ            1200円
   送料(自己責任)           1200円
 
   合計                  8500円
 
 
  今回は実験的製作の意味合いもあったので、作業工数費はもらわないことになっていてこんなもん。
 型紙の精度に手間を取った分、材料費は抑えることに成功しているが
 逆に分解ギミックに使用するマジックテープの見積もり量ミスと
 スプレー缶1本あたりの塗装面積の少なさの見落としと
 納期延長による送料の発生で、出費増が発生してしまった。
 マジックテープって思ったより高いのね。
 
  製造業をやっている人はわかるが、見積もりの精度は出す方の責任によるので、
 仕様が変更になっていない限り見積もり以上の請求は難しいものである。
 (不確定要素がある場合はあらかじめ見積もりに盛り込んでおくべき)
  そんな訳で今回の請求は6400円としました。
 
  定常的に色んなモンを作っているのならデコソフト(ライオンボード)やラリッサはまとめ買いしておけばもっと安く作れるはず。
 特にライオンボードは厚さが色々欲しいので、メーカー直販売で購入しておくのも手だろう。
  とにかく今回は反省点、改良点てんこもりである。
 
  今後、刀剣シリーズはつくってみたいねぇ(笑)
 
  今回はこの状態で引き渡し。
 頭回りの造形ノウハウがたまったので、良しとするか。
 
 
 
 
 12.使用中 2006年7月10日
使用中1  
  やーっと本人から画像が奪取できたので掲載。
 
  かなり暗かったので明るさとコントラストだけ補正入れてます。
  全身像で見ると、さほどバランスは狂ってないようで
 ちょっと安心。
 
  肩と腕周りを見てわかるように、
 狛村隊長みたいに色設定がはっきりしてないキャラの
 (原作版はカラーが出てない)
 装具を作るときは、白色ひき渡しが標準なんだよなー。
 
使用中2  
  やっぱり目が不気味だ(笑)
 黒メッシュかスモークグレーのアクリル板なんか
 入れるべきだったのかもしれん。(本人要らないって言ったけど)
 
  しかし、こーゆーのって暑そうだよなー。
 空調をもうちょっと考えれたならもっと良かった。
 
  次はマスクに挑戦だー。(嘘)
 
 
 




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